自動車を売却する際、傷だらけの車よりもピカピカの車の方が査定金額が高くなるのは、大体予想できます。では、車の傷などを修理してから査定に臨むのが良いのでしょうか。
その前に、まずはどのように査定が行われているかを見ていきましょう。とはいっても、業者によって査定方法は統一されていませんが、一応の基準のようなものはあります。それが(財)日本自動車査定協会が定める減点方法です。
(財)日本自動車査定協会では車両状態証明書を発行しており、その際に車両の傷や修理跡などを記号化して表示しています。記号は数字とアルファベットの組み合わせで表示され、数字は傷の大きさ、アルファベットは傷の状態を表しています。
500円玉サイズ未満の傷は「0」でカードサイズ未満は「1」、A4サイズ未満は「2」でそれ以上は「3」となります。凹みや曲りは「U」で傷やささくれは「A」、錆は「S」で塗装や板金修理跡は「W」などとなっています。
ですので、A4サイズ未満の凹みがある場合、その箇所は「U2」となるのです。ちなみに、1センチ未満の傷で爪に引っかからないような深さであれば、減点対象とはなりません。
その傷をどのように査定するかは完全に業者にお任せなのですが、参考までに、あるディーラーの査定について見ていきましょう。あるディーラーでは、傷を1点1000円のレートで減算していきます。
カードサイズ未満の傷が10点、カードサイズ以上A4サイズ未満が20点、A4サイズ以上が30点といった具合です。「U2」の傷がある場合、20点に該当しますので、20000円の減算となります。
もちろん、全ての車に単純にこの方式が当てはまるわけではありません。安い中古の軽自動車と新車の高級車では、同じ傷でも後者の方が減算の幅が大きくなります。
では、「U2」の傷を「カーコンビニ倶楽部」で板金修理してもらうといくらくらいかかるのでしょうか。カーコンビニ倶楽部のホームページには、「傷・凹み見積もりシミュレーション」という機能がありますので、それで算出してみましょう。
フロントフェンダーに10センチ×20センチ程度の凹みの傷があり、ボディカラーはソリッドのホワイトで国産車、という条件で概算費用を見てみると、25000円から36000円となります。
もちろんこれはあくまでも概算費用であり、傷の修理に伴いパーツの脱着が必要な場合にはその分工賃が上乗せされますし、部品代は含まれていません。
ただし、概算費用から増える可能性はあるにしても減る可能性がさほどないことを考慮すると、下限の25000円の概算費用でも、修理によってアップする可能性のある20000円の元を取ることはできません。
よって、自分で傷の修理をしたとしてもかえってマイナスになる可能性が高いので、やめておきましょう。
では、傷はそのままにしておけばいいのかというと、基本的にはそのままにしておいた方が賢明です。査定をする業者ならば、利用者への利益は考えずに修理できますので、前述の25000円から36000円よりもはるかに安く修理ができます。
ただし、傷に泥や汚れがついている場合、そのままにしておくと傷が悪化してしまう可能性がありますので、洗車をして汚れは落としておくといいでしょう。コンパウンドやワックスできれいにしてから査定に臨む人もいますが、逆効果になる可能性も。
人の手でコンパウンドやワックスと行うと、どうしてもむらができてしまうからです。コンパウンドやワックスで目立たなくような傷は、査定に大して影響を及ぼしませんので、洗車だけすればいいでしょう。