現代の社会では様々な分野において自動車に依存をしています。人の移動と言う面においては当然ながら自動車が使われていますし、小売店への物流もトラックなどが必要不可欠です。
しかし自動車と言う存在は、環境的に見ると非常に負荷の大きいものであるということは疑いようもない事実です。昨今では環境破壊の問題が深刻化しており、世界的に環境対策、特に温暖化対策が急務とされるようになりました。
またこうした環境破壊以外にも現代社会が抱える問題は多く、よりミクロな視点で見ていけば、地域産業の空洞化なども深刻な問題となってきています。
そうした社会的情勢を受けて近年注目されるようになってきた事業が「カーシェア」と呼ばれるものです。カーシェアでは一台の自動車を数人の人が利用するという形式のものです。
もともとこうした自動車の使い方は事業所などでは一般的に活用されていたものでした。しかし最近では勤め先も違う、住所も違うというような人々が、自動車を共有する流れが出てきているのです。
それではカーシェアのメリットはどこにあるのかと言うと、まず何よりも大きなメリットとなるのが温暖化対策の上での効果です。一台の自動車を一人で使用する場合も、複数の人が交代で使用する場合も、使用する距離や時間が同じなのであれば、同じだけの環境負荷を生み出します。
しかし自動車が共有されるようになると「必要な時だけ自動車を使う」という習慣が身につけられるようになり、加えて精算するべき台数も減少します。工業製品が工場で作られるという場合には必ず環境負荷が発生するわけですから、こうした理由により温暖化対策が実現するのです。
一人で購入するよりもはるかに低い負担で自動車を利用できるようになり、それぞれの消費者の行動範囲も広がるわけですから、地域活性化の役目も果たしてくれるというメリットがあります。
これは特に都心部でカーシェアをしている人が気軽に郊外へ移動できるようになることなどによって発生するメリットです。またこれらとは別のメリットとして、公共ビジネスとして利益を生み出す可能性も出てきました。
市町村や、市町村から業務委託を受けた民間業者が事業として参入することにより、新たな市場で、新たな利益を生み出すことができるようになりました。
公共ビジネスとしての発展が進んだのであれば、全国的にカーシェアの動きが大きくなっていくということになるのですから、先に挙げた環境や地域におけるメリットも拡大していくとして見られているのです。