交通機関が発達している地域に住んでいると、「お盆と正月にしかクルマは運転しない」という方や「日曜日にしか乗らない」サンデードライバーの方は非常に多いです。しかし、そのたまにしかない機会だからこそ慣れないシチュエーションが増えます。
せっかくクルマに乗る「特別な日」を、楽しい思い出だけで染めるためにも少しのマメ知識が役立ちます。
ここでは
と、4つのシチュエーションで2つずつ、合計8つのマメ知識を紹介します。
久々に遠出の運転。家族や友人と一緒なら車内もきっと楽しいでしょう。しかし、高速道路は視界が良く、思っている以上にスピードが出てしまうものです。
そもそもスピードを出し過ぎないのは当然ですが、高速道路のスピード違反で捕まった人たちは、自動速度取締機もしくは覆面パトカーによって取り締まられています。
「オービスにやられた」と耳にしたことはありませんか?それが、自動速度取締機のことです。制限速度を大幅に超えている車両を感知し、運転者とナンバーを克明に撮影する無人システム。これは最も簡単に避けられるものです。
なぜ、簡単に避けられるのか?
設置箇所の手前に必ず「自動速度取締機設置路線」と書かれた看板があるからです。多くは車道の上に大きく青色に白字で掲げられています。
これは以前、「無断で運転者を撮影するのは肖像権の侵害だ」との訴えがあり、裁判所が判決として「事前に告知すること」を条件としたためです。そのため、予告の看板をしっかり確認していれば、初めて行く場所でも問題ありません。
少し分かりづらいのが移動オービスです。これも事前に予告されますが、小さな立て看板などの場合が多く見落としやすいです。
とは言うものの、高速道路上の看板や表示板をすべて確認することは特別難しいことではなく、むしろ安全運転には欠かせない技量とも言えます。オービスに取られても良い思い出にはならないので、旅行中は特に注意しましょう。
写真:Takashi Nakajima, on Flickr
「よくあるパターン」をもとに見当をつけて「答え合わせ」する方法を紹介します。
覆面パトカーはセダンがほとんどです。トヨタのクラウンなどが多く、色も白や銀などの目立たないものが使われています。
車内が見えないように後部には目隠しスモークをしている確率が高いです。カーテンをしていたとの情報もあります。
警察は縄張り以外のところでは仕事はしないので、必ず現在地の地域のナンバーです。
覆面パトカーは無線でのやり取りが必須のため、アンテナがどこかにあります。最近はリアウィンドウの中央上に“ちょんまげ”のようについているユーロタイプが主流です。
追越し車線はガラガラなのに、なぜか誰もが制限速度内で走行車線を走っている場合。覆面パトカーを見つけた一般車両が次々と減速し、追越し車線から車線変更するため走行車線に列ができます。
覆面パトカーは1人で運転することはありません。運転席と助手席に青い制服を着ている人が乗っていたなら覆面パトカーの可能性が高く、白いヘルメットをかぶっていることも多いです。
ちなみに一昔前は、改造車ということで8ナンバーばかりでしたが、道路交通法改正により現在では3ナンバーも多く走っています。もちろんスポーツカーなど「よくあるパターン」以外の覆面パトカーもあります。
クルマの安全の基本はタイヤです。クルマをいくら点検してもタイヤを点検しなければ意味がありません。唯一路面と接しているタイヤは安全を守る上で非常に大切なパーツです。
走行中、タイヤで起きる危険な現象は下の2つです。
水の溜まった路面の上でタイヤの溝の排水が追いつかずにハンドルもブレーキも効かなくなる現象です。主な原因は高速走行、深い水たまり、溝の浅くなったタイヤです。
ハイドロプレーニング現象が起きると、氷の上を滑っているような感覚になります。そう感じた時には、アクセルもブレーキも踏まずにハンドルをしっかり握ってください。そうするとグリップ力が回復しますので、焦らずに対応しましょう。
高速走行はタイヤへの負担が大きくなります。もしタイヤの空気圧が低いと大きく波を打ったように変形したまま走ることになり、短時間で破裂する可能性があるので大変危険です。この現象が起きるとハンドルがブルブルします。
スピードを落とすことが一番の対処法になりますが、高速走行中なので急ブレーキは避けましょう。
また、この2つの現象が起きないように高速道路を走る前にはタイヤの空気圧はチェックしておきたいものです。ガソリンスタンドに行くと、無料で空気圧点検をしてくれます。
クルマに乗ると必ず使うガソリンスタンド。慣れないセルフサービスで、後ろに待っている人がいるとアタフタしてしまいますよね。誰も教えてくれないけど「知って得する」「大惨事を起こさない」マメ知識です。
ガソリンスタンドに入る手前で降りて給油口の位置を確認している方をたまに見かけます。私もレンタカーや友人にクルマを借りる時にやっていました。
しかしクルマから降りなくても、運転席で給油口の位置を確認できる方法があります。
答えは簡単。運転席でガソリンメーターの給油機のマークの隣を見てください。右向きや左向きの三角マークがついていることに気がつくと思います。これが給油口のある方向を示しています。日本車で右向きなら運転席側、左向きなら助手席側になります。
古いタイプのクルマには表示がない場合もありますのでご注意ください。
セルフのガソリンスタンドを利用すると目にする静電気除去シート。慌てている時でも必ず触れておきましょう。
静電気は火種になります。給油中に給油口をよく見ると陽炎のようにモワモワと気化したガソリンが見えます。もし引火すれば大爆発・大惨事になることは想像できます。
ガソリンスタンドの床面はいつも濡れていますが、理由の一つに静電気の発生を抑えることがあります。またガソリンスタンドの作業着は静電気が発生しにくい生地を使っています。
私が運転免許取り立ての頃。片側二車線の左側を走っていたところ、大きなトラックが右車線から割り込んできました。直後にハザードを出されたので停車するのかと思い、追突を避けるため速度を落としましたが、そのトラックはブーンとスピードを上げて先に行ってしまいました。
上京したばかりだったので都会の人は「割り込んだ後に嫌がらせするのか」と一人孤独になっていました。友人からそのハザードは「ありがとう」の意味だと笑いながら教えられたのは、その数日後です。
こうした誰にも教えられない車の常識はいくつかあります。
パッシングは「この先で検問をやっている」もしくは「事故車がある」という意味や「昼間なのにライトがついている」「ハイビームが眩しい」などの忠告です。また、こちら側が右折待ちをしていて、対向車線が詰まっている時には「先にどうぞ」のサインとなることが多いです。
狭い道路で道を譲られたドライバーが「ありがとう」の意味で手を挙げながらクラクションを軽く鳴らす場面は、よく目にする光景ですね。
高速道路の追越し車線では「スピードを上げてほしい」「道を譲ってほしい」などの意味でパッシングか右ウィンカーを出す方が多いです。また、ブレーキランプが切れていたり、トランクが空いていたり、異常な状態を教えてくれる時にもパッシングが使われます。
どれも公式なルールではないので教習所で教えられませんし、必ずしなければいけないものでもありません。それでも多くのドライバーが知っているコミュニケーションなので、知っておくと、より運転を楽しむことができます。
クルマの運転が苦手な人にとって、こうした常識や豆知識が運転から遠のかせている面もあります。特に最近は運転する機会が減ってきているので、車好きにしか分からない常識は煙たいものなのかもしれません。
ただ、パッシングなどで他の人とコミュニケーションを取ることは思っているより良いものです。道ですれ違う人と話すことはありませんが、お礼を言われたり、「この先注意」と教えてくれたりと車に乗っていれば人と繋がりを感じる機会は格段に増えます。
次に運転する時は、少し気を抜いて周りの車を見渡しながら運転してみてください。